時間ができたので、
観たいと思っていた韓国の映画を"しぶしぶ"見に行った。
"しぶしぶ"観に行ったのは、
なんの割引も適用されない一般料金の日であったためである。
7月8日から公開された最新の映画は、
ネットフリックスの一カ月分の料金とほぼ同額なのだ。
1900円を支払えないほど生活に困ってはいないが、
割引きのある日に比べるとプラス800円。
800円でなにができるかとか考えだすと、
それこそ惨めというものだ。
だから考えない。
かわりに、
割引きのある日に有給をとってまで観に行ったが、
映画館の従業員全員が新型コロナウイルスにかかり、
急遽Twitterで休館が発表されたものの、
その情報を知らずに電車賃までかけて映画館に赴き、
しかも最高気温36度とかいう灼熱の日だったため、
一時間もかけて化粧した顔は一瞬でドロドロ、
額からとめどなく流れ落ちる大粒の汗は、
空気も読まずに、
休館の二文字を見つめる目ん玉にはいることはいること‥
とかいう壮大な不幸話を仕立て上げ、
自分に
(そうならなくてよかったな、お前!)
と、謎のエールを送った。
いつも思うが、
吾輩は"思考エコロジー"である。
この調子で今後も我が国にお金を落としてゆくつもりだ。
開館時間10分前に着き、
すでに並んでいる数名のお客さんの最後尾に並ぶ。
上映開始時刻は10時20分。
列の先頭には月曜日のペアデイという割引きを狙ってか、
40代前半くらいの味のある男女。
その後ろに小柄な年配の男性‥てか、ちっちゃいおじいさん。
その後ろには、
半袖ワイシャツにスラックスといった会社員っぽい風貌の、
白髪まじりのおじさん。
そして、吾輩。
吾輩のうしろに並んだ男性もまたお歳をめしたかたであった。
そこまで頻繁に映画館に足を運ぶ人間ではないため、
過半数をしめる年長の男性客に
(あー、同じ時間帯に違うスクリーンでおじさんが好きな映画やるんだろうなぁー。この方々はよほどの映画好きなんだろうなぁ‥)
とか思っていた。
吾輩も初めてくるこの映画館は、
主にアジア映画を扱う"ミニシネコン"と呼ばれる映画館らしい。
くわしくはわからないが"4Kレストア版"や"4Kリマスター版"などという、
昔の映画なんかも上映している。
それ故、コアな映画ばかりを取り扱っていて、
いかにも映画好きが通い詰める映画館という感じだ。
吾輩もミニシアター系の映画は好きだが、
玄人の足元にも及ばないどころか、
今回観にきたのは、
YouTubeの"あなたにオススメ"で出てきた、
王道まっしぐらの"どラブコメ"映画の予告編をたまたま観て
(あー、こないだ韓ドラで観た俳優さんが出てらー‥面白そー!)
と思った‥ただそれだけの理由なのである。
YouTubeにオススメされなければ、
絶対にたどりつくことのできない映画だ。
そんな韓国の"どラブコメ"の映画を、
平日の午前中に観にくる客なぞ、
熱狂的な韓ドラ好き(※なにをかくそう吾輩である)
くらいなものだ。
この過半数を占める年長の男性客は、
おそらく
("4Kレストア版"や"4Kリマスター版"と呼ばれる古き名作を観にきたのだな‥!)
と思っていたら、
開館時間となり順番に受付で観たい映画のタイトルを従業員に言っていくのだが、
(‥え!?マジ!?あたいと同じの観るの!?)
と、皆さま口を揃えて、
例の"どラブコメ"の映画のタイトルを伝えていくのだ。
まぁもちろん。
映画関係者などでこの映画のコラムを書くために観にきた人だっていると思う‥
ということはだ。
純粋に韓国のみならずアジアの"どラブコメ"映画が好きな人だっているのだ‥!
年長のおじさんだからラブコメ観ないとかいう先入観を恥じ、
同時に別れを告げられた
"ジュウゴノヨル"
ではなく
"サンジュウロクノアサ"
であった。
※次回は7/19にあげます