朝の通勤電車内での出来事である。
吊り革に手をかけている吾輩の前に、
女子高校生が座っていた。
端に座っていた彼女は現代の、
いわゆるギャルにカテゴライズされるような子で、
隙間のある前髪の毛先は、
強風でもくずれないよう、
しっかりと内巻きにセットされていた。
胸まである髪の毛もまた、
きれいなウェーブがつけられ、
メイクは濃過ぎず、
ナチュラルな若者の美しさが際立つようなものであった。
そして次の停留駅で、
彼女の友達と思しき、
これまたギャルにカテゴライズされそうな女子高校生が乗ってきた。
ショートカットで茶髪に細いハイライトを入れた彼女は、
電車に乗るなり巻き髪の子の横に立ち、
座席シート横のへりに寄りかかり、
静かな声でおしゃべりを始めた。
こっちの子はバスケ部とかバレー部にいそうな、
ボーイッシュでオシャレな子といった感じである。
家が近所の友達と、
通学に使う列車が一緒ということを、
田舎出身の吾輩には経験がなく、
都会の文化的な背景を垣間見たように思った。
いずれにせよ、
(これぞアオハル‥!)
と、BBAらしい感想を心の中で唱えた。
次の停車駅で、
ここ数年間同じ電車に乗っていると感じていた、おそらく吾輩と同年代‥
つまり30後半から40前半と思しき西洋人の女性が乗ってきた。
彼女のお腹はこの数ヶ月間でどんどん大きくなり、
一方的に"通勤時に同じ列車に乗る外国のかた"と認識していただけではあるが、
いつも心の中で
(妊娠中なのにご苦労さまです!)
と勝手に声をかけていた。
その女性が優先席付近の吊り革につかまると、
電車は数十秒後に出発した。
そしてそのタイミングで例の二人のギャルたちは、
より小さな声でゴニョゴニョモゾモゾと話し出したのである。
数分経ったタイミングで、
電車内で立っていたショートカットの子が妊婦の女性に
『座りますか?』
と、巻き髪の子の席を指差して話しかけ、
女性は
『It's okay!Thank you!』
と、明るく丁寧に断っていた。
生きているといいことがあるものである。
今日も誰かの親切が、
誰かの心をあたため、
感動を与えているのであろう。
(BBAも親切な心と目をもって生きていこう‥)
そんなことを思った出来事であった。
※次回は12/17に上げます