吾輩は35歳である。
したがって、
たいていの高級食材と呼ばれるものには箸をつけてきた。
一般的な結婚式では、
フォアグラやアワビ、
キャビアが出される。
知らずに入った高級焼肉店では、
たまたまA5ランクの国産牛を食したし。
モンブラン好きが高じて、
1ピース千円以上するモンブランも食べた。
そんなこんなで、
吾輩のこの"ミーハー高級志向"を否定するためにも、
先に"35歳ゆえ"と断っておく。
しかし未だに食べたことのない料理や食品もあるにはあるのだ。
このたびレポートさせてもらうのは、
一パックに六個入って税込¥726の全卵‥タマゴである。
吾輩は35歳にもなるのに、
高級タマゴなるものを食べたことがない。
あるかもしれないが、
てんで覚えていない。
覚えていない以上、
未経験とカウントすべきであろう。
先週の日曜日、
自宅の少し先にある農協がやっていそうな大型のスーパーマーケットに行った。
with夫であったため、
普段、近所のスーパーマーケットで見かけないようなものから、
玄米、
花咲き気味の巨大ブロッコリーなど、
たくさんの食材を買い込むことができた。
夫がいなければ、
重くなるまで買い込むことができない。
ひとりで重いスーパーの買物袋を肩にかけている時、
私はものすごく虚しさを感じる。
もっと郊外の車社会のところに住み移れば、
こんな虚しさは感じないのかもしれないが、
神奈川県の大きな市に住む私は、
今のところ車という移動手段をもっていない。
まぁ、郊外に住んで、
となろうと、
いつかどこかで虚しさは感じるのであろう。
人生とはそんなものである。
ここは農協関連のスーパーマーケットである為、
かなりこだわった食材が店に並んでおり、
食パンひとつにしても米粉を使ったものから、
タマゴ・牛乳不使用のものまである。
その一角に、
我々は一玉¥100越えのタマゴを発見する。
悩みに悩んだすえ、
我が夫も高級タマゴは食べたことがないそうで、
タマゴごときで清水の舞台を飛び降りてしまった。
帰宅後、
買ってきた五分づきの玄米を混ぜて白米を炊き、
お肉屋さんで買ったからあげやら、
出かける前に仕込んだ雑なキャロットラペ、
インスタント味噌汁などをダイニングテーブルに用意した。
パルプモールドの容器に入った赤い殻のタマゴ‥
いや、タマゴ様たちは、
行儀良く、白米が炊ける時を待っているようだった。
ものの30分で炊き上がった白米を茶碗に盛り付け、
適当な碗にタマゴを‥おっと!タマゴ様を割り落とし、
しょうゆを数滴‥
そこから一気によくかき混ぜる‥!
ホカホカと湯気を立てている茶碗に流しこみ、
箸で軽く混ぜ合わせたら、
カッカッカッ!
と、これまた口の中に流し込む。
もっちゃもっちゃとアゴを上下に動かして味わっていると、
『タマゴ独特の臭みがないね!』
と、夫。
吾輩も同じことを思ったのと同時に、
あの臭みがやや苦手な吾輩は、
(あの臭みを消すためには膨大な費用がかかるんだなぁ‥)
と、遠くをみつめたぞなもし。
※次回は6/21にあげます