先日、用事があって鎌倉に出かけた際、
"売れ切れ次第営業終了"
のドーナッツ屋さんに立ち寄ることができた。
体にやさしい素材を使い、
丹精こめてていねいに作られたソレは、
ふわふわでもちもち。
たっぷりかかったシナモンシュガーは、
パラパラとこぼれ落ち、
ドーナッツ特有のおもむきもさることながら、
たいへん美味ですばらしいドーナッツであった。
そう、
それは、
まぎれもなく、
ドーナッツ専門店のドーナッツという感じのドーナッツで。
ドーナッツらしいドーナッツであり。
ドーナッツの中のドーナッツだとも思い。
しまいにゃあ、
『いよっ!さすが専門店のドーナッツ!』
と言いたくなってしまうほど、
純粋無垢なドーナッツだった。
しかし我が夫は私に向かって、
『こらぁ、揚げパンだね!』
と、私の心を見透かしたように言ったのだ。
‥私は揚げパンのようなドーナッツは、
ドーナッツではなく、
揚げパンと定義している人だ。
だからこのドーナッツを食べながら、
揚げパンを食べている気でいたし、
このドーナッツをドーナッツ専門店の揚げパンというふうにとらえていた。
私の定義するドーナッツは、
【揚げてサクサクないし鈍く重い食感となり、
小麦粉よりも油を感じさせ、
食べた瞬間から罪悪感と多幸感でいっぱいになる、
主食にも間食にもなりうる食べ物】。
ちなみにミスドの商品の中で好きなものは、
"ゴールデンチョコレート"と"オールドファッション"と"ポン・デ・リング"。
私の中では揚げパン寄りのドーナッツになる為、
おそらく買ったことがない。
食べた瞬間、
(食べてはならぬものを食っておるぞえええええ‥!!!)
と、絶叫したくなるのが、
私の中でのドーナッツ像なのだ。
そんなことを考えていた時。
たまたま最果タヒさんの短編エッセイを立ち読みし、
まさにこのドーナッツ問題における彼女なりの見解と思惑をインプットすることとなった。
最果さんも
"ドーナッツの定義は人それぞれ"
と、唱えていた。
上京してまもなくの頃。
新宿の至るところに、
ドーナッツプラントというオシャレなドーナッツ専門店があり、
サザンテラスには、
製造工程が丸見えの大きなクリスピークリームドーナツの店舗があった。
2021年1月の営業を以て、
ドーナッツプラントは日本から撤退したようだし、
サザンテラスのクリスピークリームドーナツの店舗だって、
とっくの昔に閉店している。
数年前にはセブンイレブンを筆頭に、
コンビニでの"レジ前ドーナッツ運動"がブームとなったが、
それもあっという間に撤収されてしまった。
スーパーですれ違うお年寄りのカゴにだって、
ドーナッツは入っていない。
入っているのはみたらしやあずきの串団子である。
ドーナッツは日本人には人気がないのであろう。
私は日本人だが、
ドーナッツがわりと好きな日本人だ。
だからこそ独自の定義があるわけだし、
こうして偉そうに話しているのも、
好き所以として許して欲しい。
※次回は4/19にあげます