日々のこと

昭和61年生まれの既婚子なしの女が、思ったことをだらだらと話すブログです。

勝手に救われた話

あれは上京して3、4年経った、


22歳頃のことだと思う。


私は実家のある青森に帰省し、


母の運転する車に乗っていた。


車の中がひんやりしていて気持ち良かったから、


季節はたぶん夏。


思い出そうとすればするほど、


フロントガラスに痛いほどの直射日光が入ってきたり、


のどの渇きを覚えたり‥


勝手極まりないねつ造がくり広げられるので、


"ただ夏だった"


ということにしておく。


コォーコォーとエアコンの吹き出し口がうなる中、


カーラジオからはFM青森が流れていた。


ローカル番組のソレらしい雰囲気でもって、


気取らない自由な話がくりひろげられていたのかまではわからないが。


とにもかくにも。


長年ラジオを聴いてきて。


リスナーのリクエストですらもされたことがないと記憶する。


私の大好きな曲が流れたのである。


Cymbalsの"Highway Star, Speed Star"。


高校生の頃から私は、


渋谷系と呼ばれる、


メロウでヒップな、


どことなる鼻につくしゃれっけめいた音楽が好きだった。


そして35歳になった今でも、


センター街で反乱する音楽にちゃんと陶酔し、


ちゃんと口もとをゆるめられるほど、


渋谷に似合う音楽が大好きだ。


渋谷系と呼ばれる音楽はけっして"最新"な訳じゃない。


軸にあるのは古典的なもので。


表現するなら‥


"おりこうさんが正しくグレて、どこ吹く風"


って感じなのだ。


うーん、全然伝わらんな。


Cymbals渋谷系と分類される3ピースバンドだった。


彼らは私が17歳の2003年に解散し、


私がどはまりしていた時期にもめざましい人気はなかったように思う。


だからCymbalsが大好きだったことを誰かに話したことはないし、


彼らの素晴らしさを誰かとわかちあったこともなかった。


だからあの夏の日。


解散から数年たっても、


この世の誰かがCymbalsを知っていて、


かつ覚えているという事実に胸が高鳴った。


奇妙で奇抜だけど夢のようにおいしい海産物しかないこの青森に、


そんな人間がいるということに私の精神は救われた。


私は立派に生きちゃいないが、


時々この世の誰かやなにかに勝手に救われて、


勝手に感謝し、


生きている。


だから今夜もまた韓ドラにかじりつき、


価値のないBBAの涙を無駄に流す。


Cymbalsの元ボーカル土岐麻子さんは、


こんなにもK-POPが流行る前からK-POPファンで、


K-POPアイドルのおっかけもしていたのだとか。


人種差別云々よりも先に、


感性やら感覚やら共感やらでつながっちまいたいぜ。

 

 


※次回は2/15にあげます