日々のこと

昭和61年生まれの既婚子なしの女が、思ったことをだらだらと話すブログです。

一本のクスノキの話

今夏、会社のある駅に駅直結のオフィス兼、商業施設ができるようで、かなり前から工事をしている。最近ではエントランスに緑が植えられ、
1階のカーテンウォールにはスタバのロゴがペイントされた。
(おにょ!?二階には新宿にあるワンタン麺の店が入るのかえ!?良きである‥!)
と、吾輩は出勤のたびに心おどらせている。
(オープンしたらしばらくは混むんだろうなぁ‥)
この駅にはこれといった目新しいものがなく、
馬喰町などの東京の古いオフィス街のような印象がある。
吾輩のような"飽きやすく新しいもの好きの現代人"にとっては、非常に退屈な街であろう。
ちなみに吾輩の好きな東京の街は、
渋谷と日本橋
いつ行っても特別なエナジーを感じる。


ほいで毎日出勤のたびにその施設の前を通るわけだが、
いつかの帰宅時、
エントランスに植えてある数本のクスノキのうち一本だけが、
全ての葉を枯らしていることに気がついた。
両隣にずらりと並ぶクスノキは皆、
緑色の葉をたくさんつけているというのに。
そやつだけは6メートル近くあるてっぺんまで茶色の枯葉をつけていた。


10本以上もあるこれらのクスノキは、
一晩のうちに植えられていた。
(昨日の退勤時にはなかったのになぁ‥人の力ってすげぇなぁ‥てか、こうした仕事をしている人たちがすげぇのかぁ‥)
なんて思いながら、
とある朝に出勤していたわけだが。
どこかでスクスクと健康に育っていたクスノキは、
ある日突然、
"神様に"なのか、
"クスノキの統括に"なのかはわからないが
「君は東京の××という街に異動ね!」
と言われ、
なにもわからないまま、
このシミったれたオフィス街に配属されたのである。
"のである"わけはないのだが、
まぁ、
とりあえずそういうことにしておく。


ほんで見知らぬ街に植えられたこやつ(※クスノキ)は、
「ほにゃ〜〜なんだか空気が合わないぃ〜〜ここの土もイマイチだしぃ〜〜ほにゃ〜〜ほにゃ〜〜まぁ〜〜様子見るかぁ〜〜」
なんて思っていたら
「ほにゃ〜〜上手く水を吸い上げられないぃ〜〜光合成エナジー生まれないぃ〜〜ほにゃ〜〜ほにゃ〜〜慣れないところに来たからかなぁ〜〜まぁ〜〜じきに慣れてくるかぁ〜〜」
と思っていたのも束の間
「ほにゃ〜〜どんどんエナジーが失われていくぅ〜〜ほにゃ〜〜ほにゃ〜〜えま〜じぇんしぃ〜〜えま〜〜、、、え、え、、、ままままま、、、(パタッ...)」


‥まぁ、ザッとこのような話なのであろう。
人間に限らず、
生きているモノは皆、
環境の合う合わないがある。


そして毎朝、毎夕そやつ(※クスノキ)を見るたびに、
どうにか息を吹き返さないかと祈る自分が居る。


二日前に見た時には、
地面に近い幹の部分に液肥のようなものが固定して差されていた。
この液肥がこやつの命を救ってくれることを、
これまた祈るしかないのであるが‥
祈れば祈るほど、
祈ることしかできない自分に嫌気がさしてくるもので。
いやはや、
奇跡なんてものは信じちゃいないが、
本当にそういう人知を超えたものを、
これまた祈る自分が居るのである。


我が家の観葉植物もこの冬、
事故で全ての葉を失い、
茎部分だけの、
なんともみすぼらしい姿で春を迎えたわけだが。
元々暑い国の生まれのせいか、
今は計7枚の葉をつけ、
買った当初の3倍もの大きさになった。
名を"春雨さん"と言い、
2年前に株分できたジュニアは"ピ"と呼んでいる。
"ピ"は韓国語で"雨"という意味である。

(春雨さんや‥遠いシミったれた街に引っ越してきたクスノキに、どうかエナジーを送ってくれろ)


‥ってことを、
液肥を差した植木の業者のかたは、
吾輩の数万倍願っているであろう。
このまま息を吹き返さずに、
枯れてしまったら‥
またどこからか新しいクスノキを運んで、
真夜中に植えかえるのである。
たまったもんじゃないし、
金と時間がかかる。
そしてその金が都民が支払う税金が当てられていたとする‥
なにがなんでも、
こやつ(※クスノキ)に生き返ってもらわなければならない。
だからまた吾輩は祈るのである。

 

 


※次回は8/6に上げます