日々のこと

昭和61年生まれの既婚子なしの女が、思ったことをだらだらと話すブログです。

2020/3/3

パン屋でモーニングセットにがっついていたら、
ヴィトンの襟巻きをした60代のマダムとその旦那さん、
息子と思しき40代の男性がイートインスペースに入ってきた。


"あらあら"とか"まあまあ"というマダムの声を聞きながら、吾輩は
(ああ、席がないってやつねー‥)
と、そちらに目もくれずに、
浅く焦げ目がついたもっちりふかふかの厚切りトーストをむさぼった。


吾輩は。
それほどまでに。
急いでいた。


これらを早く食べ終えて、
待ち合わせ時刻に間に合わせなければならないとか。
食べているそばからお腹が痛みだしたとか。
そんな貧弱な理由ならば、
そもそも
『吾輩はそれほどまでに急いでいた』
などと、
無意味にためたりはしない。


吾輩は‥
ひとつの"命"に向き合っていたのだ‥


そう‥トーストの"おいしさ"の寿命は短い‥


さらりと焼かれたトーストをマジでおいしく食べようと思うのなら。
先にコーヒーなぞで口を湿らせ、
ひといきに食べてしまわなくてはならない。
さもなくば。
いくらうまい食パンとてカチコチのビスコッティ同然になってしまう。
"はて‥ビスコッティとは何ぞ?"
と思ったのなら"選択"して"調べる"をタップすればいい。


トーストの"おいしさ"は、
いつなんどきも我々を待ってはくれない。
空前の食パンブームが巻き起こってからというもの、
日本の食パンのレベルは確実に引き上がった。


こんなにもおいしい食パンが巷にあふれ、
"常"となってしまったからには、
それをよりおいしく食べたいと願うこともまた"常"である。


BALMUDAのトースターがバカスカ売れるのも。
バカ高い発酵バターが飛ぶように売れるのも。
もはや逃れられぬ"必然"だと思うと、妙に心が楽になる。


ついでに言うと、
今のアオハタジャムのラインナップには、
ピーチ・メルバなんていうのもある。
ピーチ・メルバ‥
吾輩は古内東子の歌であること以外には知らないし、
調べてまで知りたいとは思わない。


メルバおばさんの作った桃のデザートだろうが。
メルバ地方(※おそらく存在しない)の桃だけを使った瓶詰めだろうが。
吾輩には古内東子が居るから大丈夫。


ゴホン。
話を戻そう。


そうして、きめ細か過ぎて繊維がないのか(※そもそも食パンに繊維なぞない)
思い通りに裂けてくれないトーストをちぎっていると、
例のマダムが
「4人がけの席に1人で座っているのねぇ」
と、レジの女性に言い放った。


さすがの吾輩も首を90度回し、
マダム‥いいや、う◯こば◯あの横顔に目を向ける。
白すぎるファンデーションに、
ピエロのような真っ赤な口紅。
深くくっきりと浮かび上がった目尻のシワはまるで作り物のようだ。


客席側に目をやると、
確かに4人がけの席に女性が1人で座っている。
あとのテーブル席は満席で、
カウンター席が2つだけ空いていた。


う◯こば◯あに嫌味を言われたレジの女性は、
1ミリも動かずに
「狭い店内ですので‥」
と、説明。
そうしてう◯こば◯あ御一行様は退散した。


近ごろ吾輩は思うのだ。
嫌味ったらしい言い方というものは、
女を捨てていない証なのではないか‥と。


また、すでに席に着いていたお客さんに席の移動を依頼しない店側の姿勢は、
褒め称えるべきものである。
そもそも狭いイートインスペースというものは、1人客に向けたものなのかもしれぬ。


ああ‥実に痛快であった。


トーストの"おいしさ"も腹に詰めることができたし、
最高に愉快な朝である。


ところで。モーニングセットのゆでたまごの黄身がしっかりめに茹でられていたにも関わらず、
黄身の周りが黒ずんでいなかった理由。
君、ご存知かね?