日々のこと

昭和61年生まれの既婚子なしの女が、思ったことをだらだらと話すブログです。

【とりかつチキン】@渋谷

知れば知るほど、
渋谷という街が好きになります。
なにを食べてもおいしいのはもちろんのこと、
そのおいしいは舌を魅了するだけでなく、
心が“おいしい”と判断するレベル。
新宿や銀座に比べて、
女ひとりでも気兼ねなく入れるお店が多いのも魅力のひとつです。
値段は手頃なうえに、見合う量と質。
“酸いも甘いも”‥
いいや、
“粋も甘いも”
知った淑女達にうってつけの店が、
ここ渋谷にはたくさんあります。

今日も今日とて。
センター街のダイソーで買い物をし終えた私は、
(とり!かつ!とり!かつ!とり!かつ!)
と唱えながら、
道玄坂をめざします。
今宵の渋谷飯は“とりかつ”。
その名も【とりかつ チキン】という店名のお店にうかがいます。

ここ最近。
やたらと。
(ああ、とんかつ食べたひ‥とんかつ食べたひだのぅ〜‥)
と思っていたわたくし。
“とん”ではありませんが、
“かつ”に変わりはないので、
今宵のおともはとりかつに決定。
“夕飯に揚げ物を食べる”という罪の意識はさきほどのダイソーに置いてきたゆえ、
(わしゃ心置きなくとりかつを食す!)


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109ぞいの小道をはいり、
そこからラブホ街に右折する勇気がなかった私は、
道玄坂に出て大回りをし、
改めてラブホ街手前にある飲食店街にはいりました。

Google mapを片手に
(あれー、このいっかくだと思うんだけどなー‥‥‥)
と、いつかのごとくさまよう私。
薄暗い通りは私の不安をあおるばかりで、
【とりかつ チキン】の気配すら匂わせない。
(Google map応答せよ!Google map応答せよ!)
ぬるい反応のGoogle mapを無駄にシェイクしながら、
(あー、この無意味なシェイク、BBAあるあるだなー‥)
なんていうことを考えながら、
まずは来た道を引き返す。
すると、Google mapが目的地の方角を向き、
(ふー、一安心だわさ。)
と思ったのもつかの間、
(え‥‥‥この道?)
私の目の前に続く道は、
闇同然の暗い暗い路地。
しかしそこには煌々と光る【とりかつ チキン】の看板が‥
どうやらこの先にあることは間違いないようです。

そして、たかだか31年の経験値はうったえるのです。
(この道を入って大丈夫だろうか。
殺されないだろうか。
さらわれないだろうか。
おかされないだろうか。)
よぎる不安。
暗いだけでなく、若干の事件臭さも否めない路地。
(きっと‥‥‥
夜だからこんなにビビるのだ。
そーだ、そーだ、くりーむそーだ‥!)
と、思えれば良かったものの、
その時の私のどこにそんな余裕があっただろう。
たしかに、昼間の怪しい界隈ほど弱気なものはない。
だからこそ、これから行く方々には声を大にして言いたい!

今、ここは真昼間の渋谷。
ギャング達も寝静まる正午。
この界隈をぶらつく輩(やから)は、
せいぜい食材の配達員くらいなもの。
この路地のおくで、
私は誰にも会わない。
この路地のおくには、
誰もいない。
とりかつは待ってる。
今か今かと待ってる。
ころもをまとい。
油をしたたらせ。
私だけを待ってる。
ここでしっぽを巻いて逃げたら、
腹の虫が大・号・泣!!!

ちなみにこの時のBGMは、
ユニコーンの『大迷惑』がおすすめかなと思うのですが、
何度歌っても、
“だ い め い わ く”

“だ い ご う き ゅ う”
の語呂が合わないので、
ふさわしいBGMを募集中です。

とにもかくにもですよ。
それくらい“高度な暗示”(※シンプルに言うと覚悟とか勇気とか気合いとか)が必要だってことは確かで、
あまた淑女の方々には注意喚起しておきたいと思った次第です。

意を決して、
私は変な小走りでこの道を進み、
(こういう時‥
自ら危ない人になった方が逆に安全じゃ〜ん!)
とかとか、ふりきったことを考えていたら、
ものの5メートルで【とりかつ チキン】の入っている雑居ビルにたどりつきました。
(うそーん!あちきの気合い、返してくれろー!(泣))
うへうへとキモい泣き声でビルの奥へと進んでいくと、
かなり年季の入ったのれんが目に入り、
ゆっくりとその扉を引きました。


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「いらっしゃ〜い」
どことなく気だるさを感じる、覇気のない“いらっしゃい”が心地いい店内。
かなり古いお店のようです。
たちこめる揚げ物の香りが腹の虫たちをザワつかせます。
(ザワザワ)
ほぼカウンター席の店内‥
どこにかけても構わなそうだったので、
私は入ってすぐの小さなスツールを引きました。

「荷物、後ろ使ってくださいねー!」
とお店のお母さんに言われたので、
遠慮なく、
後ろにあった本棚の上に、
コートとバッグを置かせてもらいました。

ようやくスツールに腰かけ、
ご飯をよそうお母さんの手が空くのを待ってから、
「“とりかつ”で‥!」
と注文しました。
すると、お母さんに
「“とりかつ”だけ?」
と聞き返され‥
例えばワンタン麺が有名なお店で、
ワンタンというメニューがあるように、
ここも“とりかつ”のみのメニューがあって、
(白めしが付いていないのかしらん?)
と思った私は、
「ごはんも‥!」
と勢いよくこたえました。

「ごはんはね付いてるの。
“とりかつ”とあともう一種類選べるのよ。
ハムとかコロッケとか‥」
(なーーぬーー!?そーゆーことぉー!?)
シロウト丸出しの発言に恥ずかしさを覚えながら、
もう“とりかつ”しか頭になかった私は、
「‥‥‥もう一種類も“とりかつ”で!」
と言い、
「はいよ〜‥‥‥
(※調理のオッチャンに向かって)“とりかつ” “とりかつ”です。」
とオーダーを通してもらいました。

私の他にいたお客さんの、
2人のおひとり様サラリーマンと謎のあんちゃんは、
常連さんっぽい雰囲気だったので、
私のことを
(“あー、初めての人なんだなー”とか思っただろうに‥)
とグズグズ考えていましたが、
多分、
まるで気にもとめていなかったでしょう。
いずれにせよ、
私は平然を装いながらも心の中で
(うぎゃぁー!恥ずかしかー!)
と叫んでいました、よ。

そんなこんなで無事に注文を終えた私は、
左隣のおひとり様サラリーマンにならって、
目の前のお冷のグラスをとり、
ランダムに置かれた常温の麦茶をつぎました。
(うーん、かすかに香る、香ばしさ‥風情‥!)
私は中華料理屋で出される、
薄味のジャスミンティーなんかも結構好きです。

“とりかつ”が出てくるまでは、
勝手に常連設定にしたサラリーマンと謎のあんちゃんの動向を伺います。
彼らがなにをするのかは、
私にとって大きなヒントとなるのです。
4席向こうのサラリーマンは、
ティッシュからティッシュを抜き取り、
ひたすらに鼻をかんでいました。
(ほほぅ、ティッシュの用意があるお店なのねん!)
私は食事中に大量の紙ナプキンやらティッシュを使う人間なので、
この“ティッシュの有無”はきわめて重要なポイントです。
いちおう、常に携帯しているので、
いざという時にも対応はできますが‥
(ポケットティッシュと箱ティッシュだったら、箱の方が素材がいいじゃ〜ん?)
“あって欲しい”ってのが正直なところです。


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「お待たせしました、“とりかつ”です(ドンッ!)」

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(ふぬぁぁあ!!!とりかつぅぅう!!!)
はやく頬張りたい気持ちをおさえ、
まずは味噌汁で口をしめらせます。
(うー、しみるぜ!)
予想どおりのやさしいダシの味。
そこに気持ちていどのあげとワカメ。
食堂で出てくる味噌汁に、
具なんて要らないんです。
ご飯を流すための“しょっぱくてあたたかい液体”であればなんでもいいんです。
また、もしそれが魚介系のだしだった場合‥
(まっ、大当たりだよね!)
その年の運全部を使ったといってもいいでしょう。

さてさて肝心の“とりかつ”はというと、
(あら、意外と薄衣!)
ちゃんとしたもも肉のうえに、ころもだけがずるむける‥なんてこともありません。
かつ屋の名に恥じない“とりかつ”です。

そして私が大変に気に入ったのが、
千切りキャベツの横にそえられた“あやつ”!!!
(この大根の漬物、無限に食えるわ‥)
塩気といい、酸味といい、どれをとってもパーフェクト。
浅漬けとたくあんの中間のような漬物で、
たいへん美味でございました。
業務用の漬物だとしたら、
(ぜひとも購入したい!)

また、後日調べたところによると、
この漬物は味噌汁の具 同様、その時々で変わる模様です。


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「ごちそうさまでしたー!」
と、食べ終わったお皿を上の方のカウンターに上げていると、
「はぁ〜い、まいど〜‥650円ね〜!」
と言われました。

そうなんです、このお店。
むちゃくちゃ安いんです。
この平成の世に650円ですよ、650円!
しかも税込み、650円!!!
(やっこさん、ここぁ、渋谷でっせ!?)
と江戸っ子の口調にもなってしまいますよ‥!

このクオリティでこのプライス。
やっぱり渋谷。
あなどれません。